将太の寿司(1) (講談社漫画文庫)(文庫版)
将太の寿司(1) (少年マガジンコミックス)(Kindle版)
これほどまでに寿司の魅力をわかりやすく紹介したマンガはないだろう。
ふんだんに盛り込まれた寿司トリビアに感心させられるのはもちろんのこと、まるで職人の哲学書のようでウンウンナルホドと頷いてしまうし、健気な主人公将太の頑張る姿はまるで「北の国から」のような昭和テイストの人情話にもあふれていて、涙腺を刺激されっぱなしになる。「寿司」という日本人のソウルフードがそこにあるから、人情話もスッと入る。
そりゃぁ、艶っ艶っの銀シャリと、新鮮な魚介を「いかに旨く食わせるか?」って話なんだもの。しかもそこに人があり、情に厚いストーリーがあるんだから、見ていて楽しくないわけがない。
その1巻は、2巻以降とつながりがなく、設定も違う単発のストーリーだ。単発の人気が高くて、長期連載になったパターンのマンガなんだなとわかる。この1巻があってこその、2巻以降の「新人寿司職人コンクール」への流れなのだ。
1巻には3つのストーリーがある。それぞれ見所をハイライトしておこう。
「サヨナラの桜巻き」
将太の青春ストーリーである。この話で初めて将太はツケ場(客から見てカウンターの向こう側、職人が寿司を握る場所)に立つ。
寿司マンガで過ごす休日はいかがだろうか。
将太の寿司(1) (講談社漫画文庫)(文庫版)
将太の寿司(1) (少年マガジンコミックス)(Kindle版)
- まず初っ端、兄弟子たちの見事なサヨリの包丁自慢から職人技を魅せる
- 和食の基本「山水盛り」(一皿を山や川からなる景観に見立てて盛り付ける)
- 将太の高校の同級生(かわいい子)が親の会社の取引先にやや不本意ながらもお嫁に行ってしまうという昭和テイスト
- 同級生のリクエストから「ツケ場に立たせてください!」と願い出る将太
- 握りの基本、「地紙の型」を身につける将太
- 同級生が見た将太の包丁傷とアカギレだらけの手。将太がその寿司に込めたメッセージとは
「父ちゃんの寿司」
- 良い寿司は口の中で、さらりほろりとシャリがほどける
- 何手で握ったか?がポイントで、基本は本手返し五手
- 一手減らすのに五年かかり、親方はなんと二手で握る
- 俺が勝負に勝ったら賭け料として十万円いただくぜと言う少年が現れる
- 少年は亡き父の伝説の技「小手返し一手」を身につけていた
- 孝一と将太のプライドをかけた勝負
- 将太は実直な本手返し七手
- 孝一の父の師匠「おまえの寿司はささくれておるよ」
- 一番大事なことは基本。器、箸、服装
- 孝一の父が遺した想いとは
「わさびの気持ち」
- 小松わさび園の美那子
- 病気で突然亡くなった先代と、失踪した美那子のフィアンセ
- 皮をとったらわさびの辛味が落ちる
- わさびは葉のついたほうから使う
- 「の」の字を描くようにおろすと、わさびの細胞が空気に触れて辛味が増す
- おろし金の目の違いでも味が変わる 目の粗いものを使えば甘みが出る
- 失踪していた美那子のフィアンセが偶然現る
- おれの握った寿司を一度だけ食べてほしいと申し出る将太
- 「ただあんたに夢を忘れてほしくないんだ」
- このわさびの味わいは・・・
寿司マンガで過ごす休日はいかがだろうか。
将太の寿司(1) (講談社漫画文庫)(文庫版)
将太の寿司(1) (少年マガジンコミックス)(Kindle版)